◇法定後見制度

家庭裁判所によって、成年後見人等が選任される制度です。
ご本人の状況等によって
3つの類型があります。

補助類型:重要な手続・契約の中で、ひとりで決めることに心配がある方

保佐類型:重要な手続・契約などを、ひとりで決めることが心配な方

後見類型:多くの手続・契約などを、ひとりで決めることが難しい方

法定後見制度には上記のように3類型があり、それぞれ法定後見人に
(裁判所により)付与される同意権・代理権・取消権等の権限に違いが
あります。被後見人となる方の状況にあわせた後見が必要になります。

☆法定後見制度にかかる
費用(目安)はおよそ50万円

内訳:
申立手数料(裁判所に支払う収入印紙代):800
     後見登記手数料
(裁判所に支払う):2600円
     医師の鑑定料
:10万~20
     専門家に依頼する申立て費用
:10万~30
     
※その他、証明書の取得代金・諸経費などがかかります。

☆法定後見人
選任までの期間はおよそ半年です。

☆法定後見人が家族になるとは限らない。

法定後見人には主に弁護士や司法書士の先生方が選ばれる場合が
多く、家族が選ばれない場合があります。
こういった点で「大丈夫かな…」と思われる方も多いですが、“専門家
が後見人になる”という事を考えると安心ではあります。

◇任意後見制度 

後見人になってもらいたい人を、ご本人の意思によって選び、その人との
契約のもとに成立する任意契約による後見制度です。(ただし、契約書を
作成する当時、委任者に契約をするだけの判断力は必要です)

☆任意契約によるので、途中で後見人を変えることができる。
  (新たに公正証書の作成が必要)

☆法定後見人と違い、任意契約なので後見人の報酬を無償にしたり、
  委任者の支払える範囲内での報酬を設定できる。

☆委任者の希望する人物が任意後見人となる事ができる。

任意後見受任者が決まりますと、任意後見契約を結び、代理権目録を
作成します。
これら書類が委任者(本人)の意思によるものである事を認めてもらう
ため、公証人役場にて公証してもらいます。(ここで締結されます)

その後、委任者に後見人が必要であると「本人からの申し出」や「契約
書に書かれてある状況になったと認められる場合」に、家庭裁判所に
申し出て認められれば、任意後見受任者は任意後見人となります。

任意後見契約書は公証人役場にて公正証書となっているので、後見人の
方には権限が社会的に認められます。
 
以上が、成年後見人に関する簡単な説明でした。

法定後見人は費用がかかり過ぎるという点、後見人を選べない点、
選任に半年ぐらいはかかる点などのデメリットがありますね。
ただ、後見人が専門家である場合は、全てを任せる事ができる点と、裁判
所による選任なので、不正を働かれご本人の利益を損なうリスクは少な
いと思います。

任意後見人は費用が少なく、後見人を委任者が選任でき、公証人役場が
認めてくれるという点で負担は少ないですね。
ただ、任意後見受任者に専門的な知識がない場合、結局は専門家に頼る
ため、思わぬ出費は考えられますし、後見人も人間ですので不正を働いて
ご本人の利益に損害を与える可能性はあります。(専門家が任意後見人に
なった場合でも不正行為による事件は何件かあります)