相続人の調査・確定

相続が開始されますと、相続人の調査が必要になります。
故人と法定相続人の関係性が相続割合などに影響があり、相続人の調査は重要です。

調査を怠り、分る範囲の相続人間で相続を済ませてしまっても、後になって新たな相続人
が発覚した場合、「これまで行ってきた相続は原則無効」となります。


故人が過去に婚姻し、その後離婚。その前婚の相手との間に子がいたとします。
人によっては前婚の過去を現在結婚している方との間に生まれた子には話さないことは
たまにあります。
生前中に過去について話してもらえれば良いのですが、話してもらえる前に故人となった
場合、気付かないことはあり得ます。
故人が男性ならば認知された子がいる事だってあるんですよね。認知された子は相続人
になります。

その他に、実は現姓は養子縁組で入った家で、かつては別の姓を名乗っていた場合も
あります。
この場合、養子縁組前の家族の調査をしなければなりません。(子がいれば必要ない)
前の姓の戸籍上の血族が相続人になる可能性があるからです。

様々な観点から相続人を捜さなければならないというわけです。

POINT①:このような見落としが無いように、故人の戸籍謄本を入手して調査をしま
         しょう。
         調査する方法でもっとも簡単なのは故人の戸籍謄本を追っていく事です。
         相続の諸手続きで故人の「出生から死亡まで」の戸籍謄本は必ず必要に
         なりますから、まず最初に故人のすべての戸籍情報の取得をしましょう。

         戸籍は戸籍法によって改製されてきました。改製前の戸籍を「改製原戸籍」
         といい、改製原戸籍にまでさかのぼる必要もあります。

         
戸籍謄本・改製原戸籍の取得は行政書士にお任せ下さい!

◇相続人となるべき人物が死亡していた

家族には音信不通の兄弟や姉妹がいたりします。
相続開始にあたって連絡するわけですが、すでに亡くなっている場合だってあります。
そのような場合、「死んでるからいいか」では済まされません。
その亡くなっていた相続人について調査をします。
その故人に子供や孫がいた場合、相続する権利がその子や孫にあるからです。
これを代襲相続といいます。(遺留分の権利もあります)

◇兄弟姉妹の子(甥や姪)も相続人になる可能性はある
故人に配偶者があり、故人の両親は他界しており、故人に子がなく、故人の兄弟姉妹が
存在する場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。
この場合、遺言書に「全財産を配偶者に譲る」と書かれてあれば、兄弟姉妹には遺留分
がありませんので、配偶者の方が故人の財産をすべて相続します。
しかし、そのような遺言書の無い場合は兄弟姉妹も相続人となり、兄弟姉妹の1人がすで
に他界している場合、その人に子があれば代襲で相続します。

◇相続人が未成年の場合
故人には配偶者と未成年の子が一人いたとします。
配偶者は相続人となり、未成年の子は第1順位の相続人ですので、未成年の法定代理人
である配偶者とは相続人として地位が重複してしまいます。
これを「利益相反」といい、配偶者は子の代理人にはなれない事になります。
相続人が未成年の場合は、かならず代理人が必要になります。
未成年の子供が複数いる場合も同じで、それぞれに代理人をおくことになります。
これを「特別代理人」といい、子の祖父母でもなることができ、家庭裁判所に申立てをし、
特別代理人をおくことになります。

◇認知症の方が法定相続人
この場合、認知症の疑いがあるにもかかわらず、認知症の方を遺産分割協議に参加させ
遺産を分割してしまった場合、のちに分割協議時に「すでに認知症であった」事が判明した
場合、その遺産分割協議は取消となる可能性があります。
相続人の中に認知症の方がいる場合は、成年後見制度を利用して「法定相続人」をつける
必要があります。
仮に、認知症になる疑いが出始めた時に「任意後見人契約」を結んでおけば、その後見人が
相続の話し合いにかかわることになります。
事前に認知症についての事は話し合っておくことが重要ですね。